部屋に入った一は、朝餉の支度をしようとする千鶴の背を呼び止めた。 「千鶴」 「はい…?」 「……俺たちは…その…、もう夫婦だ。違うか?」 「そうですけど…どうかされましたか?」 「夫婦は、……揃いの茶碗を使うものなのだろう」 そういって一が差し出したのは茶碗の表面に黒うさぎの描かれた大きめの茶碗と、白うさぎの描かれた小さめの茶碗。 「千鶴はうさぎが好きなのだろう?……できれば、今後はこの茶碗を…」 「夫婦茶碗…ですか!?」 「そうだ」 「ありがとうございます、一さん!大切に使いますね…!!」 一組の茶碗を手にした千鶴は、ぱたぱたと軽い足取りで勝手場へ駆けていく。 これから毎日、揃いの茶碗で日常を刻んでいく。食事を共にする度、千鶴と「夫婦」であれるしあわせを噛みしめるのだろう。 当たり前に与えられたものではない、このときを大切に守り育てぬく決意を新たにすると、一は冷たい廊下を踏みしめた。戸口の傍では雪うさぎたちが冷たい朝の空気をまとって寄り添っている。 ↑がちづるうさぎとはじめうさぎに見えた人は挙手っ!!(´▽`)ノ うさぎが淋しいと死んでしまうっていうのは嘘ですし、明治の千鶴ちゃんの台詞としてもおかしいですが、気にしない方向でお願いします^^; |